MVSQR プロジェクト: ソフトウェア品質要求の測定と可視化に関する研究

ソフトウェア品質要求のマクロな可視化

プロジェクト概要

ソフトウェアシステム開発プロジェクトの初期段階において、品質要求を適切に定義することは難しい。その主たる理由は、システムのステークホルダは、実際にシステムが稼働してみないと必要な品質要求を認識したり、優先度付けしたり、定量化したりすることが難しいからである。

加えて、初期段階において、品質要求が定義されたとしても、それらが開発プロセスの中で、継承され実現されているかを追跡することは容易でない。しかし、そのような追跡可能性を保証しなければ、品質要求の実現は、実現段階での最適化や修正に大きく頼ることになる。

上記の背景をかんがみて、このプロジェクトでは、ソフトウェア開発におけるそれぞれの成果物、例えば、設計仕様書、コード、テストケース等、における品質要求が反映されている度合を定量的に分析し、それらを設計者、プログラマ、要求分析者が把握しやすいように可視化する手法とツールの設計と実現を行う。

下記の図に本手法の概要を示す。それぞれのソフトウェア成果物を品質成分分析器 (Software Spectrum Analyzer) にかけ、その成果物で反映されている品質項目とその重要度を測定する。その測定結果に基づき、例えば色等を用いて、可視化の方針を作成する。その可視化方針を、もとの成果物に適用し、可視化することで、設計者やプログラマ等が品質の作りこみが適切に行われているか否かを直感的に確認することを支援する。

主な連携機関・メンバー

Lero : Bashar Nuseibeh
立命館大学 : 大西 淳
信州大学 : 海谷治彦(リーダー)

プロジェクトのホームページ

主な論文

Haruhiko Kaiya and Atsushi Ohnishi. Finding incorrect and missing quality requirements definitions using Requirements Frame. IEICE Transactions on Information and Systems, Vol.E95-D, No.4, Apr. 2012.

海谷 治彦, 鈴木 駿一, 小川 享, 谷川 正明, 梅村 真弘, 海尻 賢二. 分析履歴を用いたソフトウェア品質要求のスペクトル分析法. 情報処理学会論文誌, Vol. 53, No. 2, pp. 510-522, Feb. 2012.

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研究紹介シリーズ

【第7回】ソフトウェア成果物のためのスペクトル分析

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